「どう、ととのってる?」
サウナーにとっては基本の挨拶ですが、そもそも『整う(ととのう)』とはどういう状態であるかご存知でしょうか?
「シンプルに頭がスッキリする状態」「景色がぐにゃぐにゃする」「天と地がひっくり返ったような状態」など、人によって捉え方は様々ですよね。
健康促進・リフレッシュ効果があると、最近では若いビジネスパーソンの間でブームになっているサウナですが、『整い方』を間違えると寿命を縮めてしまう危険性も併せ持っています。
今回は、『整う(ととのう)』状態の解説と、整うメリット、正しい整い方・注意点について解説していきます。
▼目次
1,『整う(ととのう)』とは?
サウナ愛好家、いわゆる「サウナー」と呼ばれる人たちがよく言う『整う(ととのう)』という言葉。
サウナと水風呂を交互に入り休憩を挟む。
それを繰り返すことで得られる体験・感覚を『整う(ととのう)』といいますが、それは一体どういう状態のことを指すのでしょうか?
まずは、整う(ととのう)とは何か?について解説していきます。
①サウナーにとっての『整う』とは?
サウナーの間では、サウナと水風呂を交互に入り、それを繰り返すことで体験する『なんとも言えない気持ちイイ状態』『悦に入る状態』を、整うと言っています。
しかし、人によっては「瞑想に近い状態」「目がぐるぐる回る状態」「トランス状態」と表現する方もおり、感じ方が人それぞれなのです。
サウナ初心者からすると、サウナーによって答えが変わる『整う(ととのう)』状態について、聞けば聞くほどわからなくなるという状況の方も多いのではないでしょうか?
次項では、医学的にみた『整う(ととのう)』の状況について解説していきます。
②医学的な『整う』状態とは?
サウナーによって答えが変わる『整う(ととのう)』という曖昧な表現。
では、医学的にみるとどうでしょうか?
『整う(ととのう)』は医学用語ではないので明確な答えがあるわけではありませんが、『βエンドルフィン』と、脳内ホルモンである『セロトニン』『オキシトシン』の上昇が深く関係しているといわれています。
①βエンドルフィン
②セロトニン
③オキシトシン
『βエンドルフィン』とは、脳内で働く神経伝達物質の一種のことです。
ランナーズハイの状態のときに分泌が多く見られ、鎮痛効果や気分の高揚・幸福感などが得られるため「脳内麻薬」とも呼ばれています。
『セロトニン』も脳内で働く神経伝達物質のひとつです。
瞑想状態のときに多く分泌され、感情や気分のコントロール・精神の安定に深く関わっています。
『オキシトシン』は、別名『幸せホルモン』と呼ばれる脳内ホルモンのひとつです。
オキシトシンによって、ストレスが消され、不安な気持ちが癒される効果があります。
これらの物質が多く分泌されることにより、「瞑想」「ランナーズハイ」に近い状態となるのが、医学的にいう『整う(ととのう)』という状態のようです。
2,整う効果(メリット)
医学的にも『整う(ととのう)』状態が『なんとも言えない気持ちイイ状態』であると裏づけが取れましたが、整うことで得られる効果・メリットは他にもあります。
①リラックス効果
『βエンドルフィン』『セロトニン』『オキシトシン』が上昇すると、脳内の神経活動を休ませたり、痛みの症状を緩和する効果があると考えられています。
これらのホルモン変動は自律神経と連動しており、心身を鎮静状態にする『副交感神経』を高めるためです。
自律神経が整う(ととのう)ことにより、仕事のストレスによる興奮状態や、身体的疲労からくる痛みの緩和も期待でき、リラックス効果を得ることが期待できるのです。
②デトックス効果
整う(ととのう)までの過程の効果ではありますが、サウナ・水風呂の繰り返しは『血管の伸縮』を促進させます。
血管を寒暖差で伸縮させることで、血管をマッサージし、発汗効果が高まります。
発汗効果が高まることでデトックス作用を得ることができ、新陳代謝がよくなる効果が期待できます。
③風邪を引きにくくなる
サウナには、健康効果も期待できます。
先ほどの「デトックス効果」で説明した血管の伸縮により、血流がよくなることで体中に酸素・栄養がいきわたるようになります。
また、温度変化による自律神経の変化に対応する訓練になるので、季節の変わり目などで風邪を引きやすい時期に、風邪を引きにくくなるという効果が期待できます。
3,正しい整い方
『整う(ととのう)』ことにより様々なメリットを得られることを解説してきましたので、ここからは『正しい整い方』について解説していきます。
①『休憩』がキモ!
まず、サウナ・水風呂を交互に繰り返し入ることはもちろんですが、その間に『休憩』を挟むことが大事です。
整うためには高温のサウナ室・低温の水風呂に交互に入る必要がありますが、急激な温度差により自律神経は一時的に緊張・興奮状態となります。
いわゆる交感神経が優位に働いた状態になりますので、今度は休憩を入れることで副交感神経を優位にするのです。
交感神経から副交感神経へと入れ替わることで、『βエンドルフィン』『セロトニン』『オキシトシン』の効果が増強されます。
整う(ととのう)効果・メリットを最大限に活かすためにも、休憩で副交感神経を高める時間を作りましょう。
②サウナ・水風呂・休憩の時間配分
サウナ・水風呂・休憩の時間配分およびセット数は、下記がゴールデンコースと言われています。
・サウナ:5分
・水風呂:1分
・休憩 :4分
※セット数:3セット
ただし、体調が悪いときやサウナ初心者の方は「サウナ3分」「2セット」など、その日によって変えてしまっても構いません。
何より、無理をしない程度に整うことが大事です。
③最適な温度は?
整う(ととのう)ために最適なサウナ・水風呂の温度はあるのでしょうか。
整う際に分泌されるホルモンの変動に関わる条件としては、下記温度が最適であるといわれています。
・サウナ:80-100℃
・水風呂:15-19℃
ただし、整うための温度に関する研究結果は発表されていないため、あくまで目安として参考にしていただければと思います。
体調が悪いときは無理せず、サウナ初心者の方は徐々に慣れていきましょう。
4,危険な整い方
ここからは、危険な整い方について解説していきます。
これらに当てはまるサウナーの方たちは、自分の健康・命のためにも、正しい整い方にぜひ切り替えていきましょう。
①頭がぐるぐる回る
『整う(ととのう)』のは、トランス状態になってこそだ!
そう考えているサウナーの方も多いかと思いますが、この状態は『危険な状態』です。
・頭がぐるぐる回る
・めまいがする
・目の前がぐにゃぐにゃする
・トランス状態である
これらは、血圧が急上昇・急降下することによる『ヒートショック現象』の可能性が高いです。
血圧の乱高下は、血流を不安定にすることで各臓器を酸欠に、脈拍を急激に変動させます。
心臓がバクバクと苦しくなったり、吐き気を感じたり、意識が朦朧(もうろう)とするのです。
血管の伸縮により、血流がよくなるメリットがある一方、やりすぎると命の危険さえあるため、危険な感覚を感じた場合は中止するなど、様子を見ながら整うようにしましょう。
②かけ湯をしない
サウナと水風呂の間にかけ湯をしないと、急激な温度変化により体への負担が高まります。
特に、中高年・高齢者の場合は血管が破れたり、詰まったりする可能性が高く注意が必要です。
若い方や体力に自信のある方でも、脳卒中・心筋梗塞のリスクが高まります。
実際、サウナ室で意識不明のまま気づかれなかったり、水風呂で意識を失い溺れてしまう、といった事件も起こっています。
サウナと水風呂の間にはかけ湯をおこなうなどし、急な温度変化は避けるようにしましょう。
③体調が万全ではない
下記のように、体調が万全でない方は注意が必要です。
・高血圧
・心臓・循環器系の疾患/持病
・重度の炎症/外傷
・発熱/体調不良
・薬を継続して服用している方
・食後すぐ(1時間は空けましょう)
・お酒を飲んだ後
水分補給はこまめにとり、「おかしいな?」と異変を感じたら、室温で座るか横になるようにしましょう。
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今回は、『整う(ととのう)』状態の解説と、整うメリット、正しい整い方・注意点について解説してきました。
健康促進・リフレッシュ効果があるとブームになっているサウナですが、『整い方』を一歩間違えると、寿命を縮めてしまう危険性も併せ持っています。
正しく整うことで、その効果・メリットを最大限に活かしましょう!
この記事があなたの参考になれば幸いです。
以上、最後までお読み頂きありがとうございました。